BANANA FISHでたどるアメリカ文学
今週のお題「読書感想文」
2018年に放送され話題となったアニメ「BANANA FISH」。エンディングテーマのprayerXは人気バンド「King gnu」さんの曲ということもあり、有名なのではないでしょうか。
そんなBANANA FISHは舞台がニューヨーク、マンハッタン。主人公のアッシュはストリートギャングでありながら、IQ180以上で容姿端麗な金髪碧眼の美少年。彼はBANANA FISHという薬物の真相を知るにつれて大きな問題に巻き込まれていく。そんな中、日本人の青年、英二と出会う。唯一無二の友情を手に入れた2人が真実に向かって突き進む。
そんなお話です。
今回はその BANANA FISHで各話の題名にもなり、主人公のアッシュが好んで読んでいるアメリカ文学について紹介したいと思います。
読みやすい短編
短編は読みやすく、アメリカ文学を読むきっかけになりやすいです。
その中でも、おすすめを2つ紹介します。
バナナフィッシュにうってつけの日 / サリンジャー
BANANA FISHの題名であり、全ての始まり。サリンジャー著の短編集「ナインストーリーズ」に入っています。
サリンジャーの作品の中で度々登場するグラース家の長男が登場します。これを読むと、他のサリンジャーの作品も読みたくなるでしょう。
かなり短く、しかし衝撃的な作品であるこの短編。BANANA FISHの題名である理由がわかると思います。
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キリマンジャロの雪 / アーネスト・ヘミングウェイ
主人公、アッシュが好んで読んでいた短編小説です。
アッシュはこの小説の冒頭に描かれているヒョウについての一節を語ります。
アッシュの持つ死生観や、BANANA FISHの世界観を構築するものが、これを読むとわかるように思えます。
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読み応えある、長編作品
名作や、長編も題名には数々入っています。
長編は本を読み慣れていない人にはきついかもしれないです。ですが、アメリカ文学には独特の雰囲気があるのでそこにハマれば次々と読みたくなるはず!
そんな2冊を紹介します。
海流の中の島々 / アーネスト・ヘミングウェイ
文庫で上下に分かれています。結構、長い本です。私は2018年高校時代に図書館で借りましたが、その前に借りた人は1990年代で自分が生まれるより前で驚きました。現代では、それくらい読む人が少ないマイナーな本なのかもしれません。
この小説はBANANA FISHの中で、ブランカが好んで読み アッシュが少年時代に読んでいた本です。
ヘミングウェイの人生や、当時の様子、そして「孤独」が描かれています。
3つの章に分かれていて、それに続く4つ目の章が有名な「老人と海」なのです。少し、読みにくいと思われたりする方は、「老人と海」を読んでから入ると読みやすいと思います。
BANANA FISHではブランカの主観の語りは多くありません。しかし、彼が何を感じていたのかが、この本を通して伝わるような気がします。
ライ麦畑でつかまえて/J.D.サリンジャー
BANANA FISHの最終話の題でもあります。
ライ麦畑は、青春小説として有名です。しかし、この青春というのは、現代の感覚でいうキラキラ輝いた、汗と涙の光る学生生活!というのとは違います。
思春期のころ、誰もが思ったことがあるような、16歳の少年の心のうちを語ったものです。一見、読んでいて痛いような思春期ならではの考えや表現、それを描いたこの小説。時代に関係なく読む人がいるのは納得です。村上春樹さんの訳が上手なのもあると思います。
BANANA FISHの主人公アッシュと英二も18歳前後の青春時代真っ只中。彼らが、世間に何を思い、何を考えていたのかこの小説からも読み取れるかもしれません。
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アメリカ文学からアッシュの心を読む
BANANA FISHの各話の題となったアメリカ文学たち。これらを読むことで、アッシュが何を考え、ブランカが、英二が、彼らがどんな思いを抱いていたか考える。
そんな、「BANANA FISH」をさらに深く感じられるアメリカ文学。
文学としても楽しめて、「BANANA FISH」もさらに楽しめる。
ぜひ、アメリカ文学の魅力に触れてみてください。
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